無敵のプルークボーゲン
2024/11/04
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スキーをこよなく愛するサラリーマンスキーヤーです。オンシーズンは週末限定でインストラクターを承っています(就学前のお子さんから80代のシニアまで)。全日本スキー連盟のメソッドに基づいた正しい指導を心がけています。レッスン終了後のお客様の笑顔を見る瞬間が至福です。より多くの人にスキーの楽しさを伝える事が私の夢です。
プルークとはスキー板の先端を近づけてハの字型にすることをいいます。私はスクールの講師になってから多くのスキーヤーを指導していますが、初心者から上級者までどんなレベルのスキーヤーに対してもレッスンを行う際はプルーク姿勢を利用して指導を進めて行くようにしています。プルークにはスキーをする際の大切な要素が含まれていて、プルークを振り返ることで次のステップへスムーズに進む可能性があるからです。私がスクールで担当した上達に伸び悩んでいるスキーヤーにはプルーク姿勢を使ったレッスンをするようにしています。殆どのスキーヤーは基本に立ち返ったことによりレベルアップのきっかけを掴んでいます。プルークの技術は1911年に日本に初めてスキーが伝えられた時から存在しています。100年以上経ってスキー道具が飛躍的に進化しても変わっていません。SAJの公認スキー指導員(正指導員、準指導員)の実技種目の中にも含まれている指導者にとっても重要視されています。いつの時代でも通用してきて変化していない完成された奥の深い基本技術です。ここでは、このプルークの大切な理由とプルーク動作の要領を紹介します。
プルークスタンスが大切な理由
①スキーをコントロールするための重要な要素が豊富
私がスキーの初心者に対してレッスンを行う際に最も注意していることは、恐怖心を取り除くことです。恐怖が心に宿り始めると、頭が真っ白になってレッスンでの説明が頭に入ってこなくなります。また、恐怖によって萎縮して体が硬くなり、体を動かしてスキー技術を学ぶことが難しくなります。このような悪循環に陥らないで、楽しくレッスンを行うために初心者が安心してレッスンをできる環境を用意することを心がけています。あなたはスキー板を初めて履いてゲレンデに立った時、何が一番の恐怖でしたか?スキーが滑り始めたときにブレーキを掛けられなくなること(制動できなくなること)と答える方が多いと思います。私も初めてスキー板を履いた時に、板が勝手に滑り出しフェンスに突っ込んでしまいました(笑)。あの時の恐怖は今でもはっきりと覚えています。プルークには制動を掛けるために必要なエッジング、迎え角、くの字姿勢の基本3要素が含まれています。それでは、制動をかけるための基本3要素について説明します。
エッジング(角付け)
エッジングとは、スキー板の底面(ソール面)を雪面に対し角付けをすることです。スキーヤーがエッジングを行うことによってスキー板の長手方向にたいして横向きに雪面からの抵抗を受けて制動をかけることが可能となります。
迎え角
斜面のフォールラインに対してスキー板(軸方向)となす角度のことを迎え角と呼びます。斜面のフォールラインは聞きなれない言葉かと思いますが、斜面の下に向かってボールを転がしたときにボールが転がっていく方向と思って下さい。スキーヤーがエッジングをした際に迎え角が大きいほど制動(ブレーキ)する力は大きなものとなります。
②簡単に左右対称のターンができる!(左右対称のくの字姿勢)
バッチテスト検定で合否判定をする評価観点の1つに「ターンが左右均等にできるか」があります。初心者にとって、左右均等にコントロールすることはかなり難しいことですが、プルーク姿勢は左右対称の形となっているので初心者でも比較的簡単に左右均等のターンを描けるようになります。ちなみにスキーヤーの正面から見て足首、膝、股関節、肩を結ぶラインがくの字型になっているのでくの字姿勢と呼びます。くの字姿勢はターン中に遠心力を受け止めたり、エッジングや荷重動作を調整する役割があります。
③バランスを取り易いので安心できる!
プルーク姿勢は中〜上級者が両足を揃えてパラレルを行うときのパラレルスタンスと比べるとスタンス幅がかなり広くなっています。滑走をする際は、スタンス幅から重心が外れないようしてバランスを取る必要があります。万が一スタンス幅から重心が外れてしまうと、バランスが取れずに転倒することになります。従って、スタンス幅の広いプルーク姿勢では初心者でも比較的簡単にバランスをとりやすく安心して滑ることができます。
プルークでの制動(減速)
フォールラインに向かってプルーク姿勢で制動(減速)してみましょう。 動作の要領としては、 ①左右の股関節を中心に脚を内旋させて迎え角を広げます。 ②左右の股関節を中心に脚を外転させ、板の底面を雪面に対しエッジングします。 ③左右の股関節を中心に脚を屈曲させ重心をスキー板に荷重します。 ④フォールラインに対して逆向きの雪面抵抗を受けることで制動が始まります。 ポイントはセンターポジション(素直にスキー板に体重を預けられる位置)に荷重することです。スキー板全体がたわむことにより雪面からの抵抗を効率よく受けて制動することができます。
プルークでのターン
今度はプルークの姿勢でスキー板をターンさせてみましょう。 動作の要領は、 ①外足(ターン外側の足)の股関節を中心に脚を内旋させエッジングを開始する。 ②外足の股関節を中心に脚を屈曲させ荷重を行う。 ③外足の荷重が内足よりもお大きくなることにより、ターンが始まる。 プルークでの制動と同じくセンターポジションに荷重し効率の良いターンを心掛けることが大切です。
まとめ
初心者を指導する技術としてプルークボーゲンが採用される理由をまとめます。
✅エッジング、迎え角、くの字姿勢の基本要素を含んでいる。
✅プルーク姿勢は左右それぞれのくの字姿勢を含んでいる。
✅力学的な安定が心理的な安心につながる。
スキー技術の習得においてプルークが大切な技術であること納得していただけたでしょうか?プルークはスキー操作を行う上で基本要素を含んでいてバランスが取りやすい事から、中〜上級者を指導するときにも有効な指導手段となります。小回り、コブ斜面、急斜面に対応させる指導を行うときもレッスンの中で有効に使っています。スキーレッスンの魔法といったところです。「プルークに始まりプルークに終わる」、「プルーク忘るべからず」です。スランプに陥ったとき、悩んだ時はプルークスタンスをとって基本に戻ってみましょう!
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スキーをこよなく愛するサラリーマンスキーヤーです。オンシーズンは週末限定でインストラクターを承っています(就学前のお子さんから80代のシニアまで)。全日本スキー連盟のメソッドに基づいた正しい指導を心がけています。レッスン終了後のお客様の笑顔を見る瞬間が至福です。より多くの人にスキーの楽しさを伝える事が私の夢です。