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Mission1急斜面を思い通りのターン孤で滑る

2024/11/04
 
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スキーをこよなく愛するサラリーマンスキーヤーです。オンシーズンは週末限定でインストラクターを承っています(就学前のお子さんから80代のシニアまで)。全日本スキー連盟のメソッドに基づいた正しい指導を心がけています。レッスン終了後のお客様の笑顔を見る瞬間が至福です。より多くの人にスキーの楽しさを伝える事が私の夢です。
初めて急斜面に立った時、恐怖を感じて体が硬くなったり、滑走中に暴走して転倒したことありませんか?私はボーゲンでやっと滑れるようになった時に、友人に急斜面に連れて行かれました。斜面の下を見ると、吸い込まれそうな感覚に襲われて怖くなりました。一旦滑り始めるとコントロールができなくなって暴走しフェンスに突っ込みコース外へ転落しました。あの時の恐怖は、今も忘れません。恐怖心は運動に必要な筋肉を硬直させ、思考回路が鈍って頭の中が真っ白になります。スキースクールでの例えでは、急斜面に慣れていないスキーヤーが一旦恐怖心に襲われると、講師の言葉が耳にに入らなくなり、体が固って何度も転び続ける場合もあります。私のこれまでの経験上、急斜面を滑る際に優先すべきことは、恐怖心を取り除くことです。

急斜面で恐怖心を取り除くための方法

私は初級者を急斜面でレッスンする際に、安心して滑れるようになることに時間をかけます。では、そのレッスン内容の一例をご紹介します。急斜面では、フォールラインを向くとスキー板の進行方向に対する実質の斜度が最大となり、フル加速します(図中①)。スキー板がフォールラインを向いた場合が一番恐怖を感じます。一方、フォールラインに対してスキーを真横に向けた時(迎え角:90°)はスキー板の進行方向に対する実質の斜度が0°となり、スキー板が加速しません(図中③)。実際、急斜面に立って、「迎え角を90°にすれば安心」「板を横に向ければ安心だよ」ということを体感して頂きます。つまり、急斜面で暴走しないためには、フォールラインにスキー板を向けている時間を如何に短くするかが大切になります。迎え角を意図的に変化させることで、スピードコントロールも可能となります。
<急斜面での心得>
✅ 急斜面でフォールラインに板を向けるとフル加速 図中①
✅ 迎え角を90°(フォールラインに対し真横)で暴走せず安心 図中③
ここまでの説明を踏まえて、次のステップを踏んで急斜面に慣れた後、狙いどおりのシュプール(ターン孤)を描いて行きましょう!

① 大回りでターン孤をコントロールする

スキーのターン運動でもっとも重要なターン孤の作り方を学びます。エッジング、荷重、回旋などのスキー操作だけでなく、それを生み出すもととなる傾き、ひねり、上下運動などの身体の運動を理解し洗練させます。

はじめに、緩斜面の基礎パラレルターンを急斜面のパラレルターンへと進化させます。
次に、ターン孤を大きな円弧型から深回りのつの字型へ対応できるようにします。

ターン孤の制御は単に大回り、小回りの制御ではなく、自在な始動と方向性をめざします。

Step1 基礎パラレルターンで急斜面を滑る

はじめに、ターン孤の制御による急斜面への対応能力を身に付けます。緩中斜面で練習してきた基礎パラレルターンで、急斜面を安全な速度で安定して滑る練習をします。

課題1-1 基礎パラで急斜面を安全に滑ろう!

✅ 基礎パラレルターンの3つの要素で急斜面でもう一度確認してみよう。
  A 滑走プルークでの外スキーのカービング
  B 横滑りの展開でのスキーの回し込み
  C シュテム動作でのターン早期からの外スキーのカービング

✅ 急斜面でスキーの回し込みを速くする意識で滑ってみよう。
  急斜面で暴走しないようにスキー板がフォールラインに向く時間を短くするために、
  スキー板の回し込みを速くして安全に滑るように繋げよう。

✅ 滑らかなエッジングでターンをコントロールしよう。
  急斜面では急激に荷重を加えるとバランスを崩すことに繋がるので
  滑らかなエッジングを意識して滑ろう。

✅ 外スキーへの荷重を強める意識でターンコントロールしよう。
  急斜面での大回りは回転中の速度が速くなり体に働く遠心力が強くなります。
  強い遠心力に対してバランスを保つために、外足への荷重を強める意識でターンしよう。

Step2 パラレルターン深回りで急斜面を滑る

基礎パラレルターンからカービングを強め、急斜面でのスピードに乗ったパラレルターン大回りができるようにします。始動期にスキーの回し込みを速め、エッジングを強めて回転孤を小さくし、速度を制御します。

課題1-2 パラレルターン深回りで急斜面を滑ろう!

✅ ターン始動後に、素早くカービングを強めて弧の深さを調整しよう!
急斜面ではフォールラインを向く時間を短くし暴走を抑えたいので、素早くターンをする意識を持とう!素早くターンをすると強い遠心力が働くので、外足のカービングを強めてバランスを取ろう!

✅ 深回りの回転孤でターンを仕上げ、横方向へ移動しよう!
回転半径を大きくすると、身体に働く遠心力は緩和されるのでコントロールがし易くなります。

Step3 パラレルターンを大きな円弧で連続させよう!

次に、急斜面で左右均等なターンを描く練習をしましょう。ターン入り口から出口まで、同じ回転半径を維持しながら丸いターン孤を描きます。もっとも基本的なカービング性能の出し方です。意図的に左右均一なターンを描くことができるようになり、あなたのスキーに対する自信も一層強くなることでしょう。

課題1-3 大きな円弧でパラレルターンを連続させよう!

✅ 均等なターン孤を連続できるように繰り返し練習しよう
外スキーの荷重を調整する練習をします。少しひいたアングルでビデオ撮影し、左右均等なターンが狙い通りに描けているか確認しましょう。早い段階で自分の左右不均等の癖を見抜き、荷重のタイミングと強さを調整し左右均等になるように仕上げます。
✅ 円い孤をイメージしターンコントロールしよう
ターンを開始し、舵取り期で外足の荷重を一定にすることで丸いターン孤を描くことが可能となります。同じくビデオ撮影した動画を見返すことで、自らの癖を早期に見抜き修正します。
✅ 丁寧にスキーを操作し、ズレずにカービングすることに集中しよう
急斜面での大回りでは、滑走スピードが自ずと速くなります。不用意にラフな荷重の掛け方をするとバランスを崩す原因となるので、丁寧にカービングするよう意識します。

Step4 パラレルターンを「つ」の字で連続させよう!

Step3の円弧の連続に対して、「つ」の字型の弧をを描きます。「円弧」型から「つ」の字型へターンを移行させることで、横幅を大きく取った深回りになり、ダイナミックでスピード感のある滑りへと進化します。

課題1-4 「つ」の字型の円弧でパラレルターンを連続

✅ 大きなターン孤を直線と小さな回転孤で繋げる
Step3では回転中はターン開始から終了まで同じ回転半径で回転孤を描きました。今回の「つ」の字型では直線+小さな回転半径+直線でターン孤を構成します。丸い円弧よりも直線部分が加わった分スピード感のあるダイナミックな滑りが可能となります。直線区間が長くなる事でターンの幅(スペース)は広くなり、結果的に深回りのターン孤となります。
✅ 深周りのターンでスピードに乗ったまま横方向へ移動する
深回りのターンは回転孤が小さいのでスピードを保ったままターンすると、強い遠心力が働きます。
強い遠心力に対してバランスを保つために、外スキーのカービングを強めましょう。減速要素が働かないようにスキー板の軸方向へ荷重するイメージで速度推進のカービングを意識しましょう。
✅ すばやい動きで次のターン姿勢を作り、カービングを開始します
直線区間から回転半径の小さい孤の区間へ移る際に、急激に強い遠心力が働きます。急激な外力の変化に対応するために素早い動きでターン姿勢を作りカービングを開始します。

② 大回りで体の傾きをコントロールする

パラレルターンで回転孤を描いている際に、バランスを取るために必要な身体の傾きの変え方を学びます。ターン中傾きが一定な静的バランス、傾きが迎え角に応じて変化する動的バランスの基になります。斜面やターン孤などの状況に応じて、体の傾きを変えられるように技術を習得しよう。

Step1 静的内傾維持

緩斜面の大回り系種目では速度、回転半径がターンを通じて変化が少ないと言えます。ターン運動の途中で迎え角が変わっても、雪面から受ける力の大きさ、方向ともに変化が少ないため、身体の傾きも一定に維持されます。
 <適応種目>
  緩斜面シュテムターン
  緩斜面パラレルターン大回り

課題1-5 緩斜面で身体の傾きを一定にして滑ってみよう!

✅ 回転孤、スピードを一定に保ち、内傾角度を維持しつつシュテムターンで滑る
✅ 回転孤、スピードを一定に保ち、内傾角度を維持しつつパラレルターンで滑る

Step2 動的内傾促進

中急斜面での大回り系種目では、ターン中に迎え角が変化するにともない、速度や回転半径が変化します。このとき、雪面から受ける力の受ける大きさや方向が変化するので、バランスをとるために身体の傾きも変化します。
<適応種目>
 中急斜面パラレルターン大回り
 中急斜面シュテムターン

課題1-6 中急斜面を傾きを変えながらバランスをとって滑ろう!

✅ シュテムターンで中急斜面に身体の傾きを合わせながらターンする
中急斜面シュテムターンでは内スキー引き寄せ時に外スキーのカービングを強め、雪面抵抗力の大きさに合わせて身体の内傾角度を増していきます。
✅ パラレルターンで中急斜面に身体の傾きを合わせながらターンする 
中急斜面パラレルターン大回りでは、舵取り開始時に外スキーのカービングを強め、雪面抵抗の大きさに合わせて身体の内傾角度を増していきます。

③小回りでスピードをコントロールする

スピードのコントロールには、安全のための減速停止だけでなく、競技性やスポーツ性を高める加速、移動効率を高める等速維持などの意味があります。ターン技術の目指す重要な目的のひとつです。

Step1 加速

初中級者から上級者までの全てのスキーヤーにとって、加速に慣れ、利用し、楽しむことは、上達に欠かせない条件です。スキーヤーにとって斜面での滑り出し時の加速、自分がコントロールできる限界の速度までの加速、ターンが失敗した時などの減速した後の再加速などつねに加速を行う機会があります。加速を活かすことがスキーの本質でもある滑走性を高めることに繋がります。急斜面での小回りではスキーヤーに働く重力の影響が大きく加速が大きくなります。ここでは、急斜面での加速を習得しましょう。

課題1-7 パラレルターン小回りで加速してみよう!

✅ 急斜面で維持できる最高速度まで加速しよう!
急斜面で自分がコントロールできる限界のスピードまで加速してみよう。限界のスピードまで加速し、スピードに耐えることで外足荷重でのターンの精度を上げることに繋がります(カービングや身体の構えなど)。朝イチに一番乗りでリフトに乗り、人が少ないタイミングで練習することをお勧めします。くれぐれも他のスキーヤーと接触しないように注意します。
✅ 緩斜面で減速要素を最小限にして加速しよう!
今度は緩斜面にて自分が持っている最大限の技術を活かし、最大限の加速にチャレンジしてみましょう。加速するための身体の動かし方を身につけることに繋がります。急斜面と同じく安全に注意して練習を行います。

Step2 等速

急斜面小回りターンでは、速度制御による安定した等速滑降はたいへん重要です。体力にあった速度を維持して等速で滑ることができれば、長い時間スキーを楽しむことに繋がります。スキーの回し込みにより、落差を制御することで安定した等速滑降を実現します。

課題1-8 急斜面を等速な小回りで滑ってみよう!

✅ ターン前半でスキーを回し込むように意識する。
✅ ターン後半で速度を制御しよう。

Step3 減速→停止

減速は正確な等速滑走の技術の延長上あります。停止は安全なスキーのために重要な技術です。

課題1-9 あらゆるシーンで停止してみよう!

✅ 大回りから停止をしてみよう! 
大回りでは大回りのまま制動を強めるとともに斜面上方へ切り上げて停止します
大回りで停止しきれない場合は、小、回りでもう1ターンして停止します
✅ 小回りから停止をしてみよう!
小回りでは小回りのまま制動を強めて停止します

Step4 加速→等速→減速→停止

加減速は雪面から受ける力のコントロールから生まれます。不整地の滑りを習得するための練習方法として有効です。整地で練習してから不整地の練習へ移行すると良いでしょう。

課題1-10 不整地で意識して加速→等速→減速→停止してみよう!

✅ 斜度に応じた安全な加速をしよう
✅ 柔軟な脚部の運動でエッジングし等速を維持しよう!
✅ 数個先のコブで停止するように減速しよう!

④ターンのリズムをコントロールする

1級検定種目の総合滑降ではスピード感を保ったままターン孤を変化させることが求められます。ターン孤を変化させることはスキーを楽しむ上で重要な要素となります。エッジング荷重回旋などのスキー操作だけでなく、それを生み出す元となる傾きひねり上下運動などの身体の動作を理解させて洗練させます。リズムの変化を生み出すには、エッジングにより雪面からの力を有効に利用する必要があります。

Step1 小回りから大回りにターンを変化させよう

回転半径を小回りから大回りに変化させるだけでなく、身体の使い方を小回りから大回りに使い分けるように意識しましょう。

課題1-11

✅ 小回りを下半身の動作だけで滑るように意識しよう! 
小回り時には、ほぼ固定した上半身の下で下半身をスイングします
✅ 上半身と下半身を一体化させて大回りをしよう!
大回り時には上半身と下半身を一体化させてターン内側に傾けます
✅ 落差を意識して小回りから大回りに移行しよう! 
大回り移行時には落差を増やします
✅ 動から静への意識変化を実践しよう!
急斜面で小回りをして斜度が緩やかになってきたら、傾き一定の静的内傾維持でターンしよう。

Step2 大回りから小回りへターンを変化させよう!

Step1と同様に、回転半径だけでなく、身体の使い方も大回りから小回りに切りかえる練習をします。横滑りの展開から練習を始め、少しずつカービングを強めます。精神面の切りかえも実践します。

課題1-12

✅ 上半身と下半身を一体化させて大回りをしよう!
大回り時には上半身と下半身を一体化させてターン内側に傾けます
✅ 小回りを下半身の動作だけで滑るように意識しよう! 
小回り時には、ほぼ固定した上半身の下で下半身をスイングします
✅ スキーの回し込みを速めて小回りへ移行しよう!
小回り移行時には、ターン始動直後からスキーの回し込みを速め、小回りターンの姿勢へと入ります
✅ 静から動への意識変化を実践しよう!

Step3 小回りライン変化

検定種目の総合滑降にて、小回りで回転半径を変化させるのも検定委員への有効なアピールの手段です。小回りターンでの身体の使い方を理解実践します。不整地、ゲートのライン、リズム変化の基本となります。

課題1-13

✅ 深回りのターン始動期でスキーを外から深く回し込もう!
小回りの深回りターンではターン始動期から早めにスキーを回しこむことで後半にスキーをコントロールする時間がとれるので余裕のあるターンとなります。
✅ 新たなラインのはじめのターンで、スキーの速く深い回し込みを意識しよう!
小回りでラインを変化させるときは、初めのターンでスキーを深く回し込むことで新たなラインに対応させる間を作ることができミスを防ぎます。
✅ カービングを速度制御から速度推進へと変化させよう!
カービングを速度制御から速度推進へと進めます。とくにラインの変化時は、速度推進カービングを意識します。

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